ファクタリングについて

ファクタリング(Factoring)は、企業が売掛金(商品やサービスを提供した後に顧客から受け取る代金)を早期に現金化するための金融取引です。具体的には、企業が保有する売掛金をファクタリング会社(ファクター)に売却し、ファクターがその対価として現金を企業に提供します。

ファクタリングの基本的な流れ

1. 売掛金の発生:企業が商品やサービスを提供し、取引先から代金を受け取る権利が発生します。
2. ファクタリングの申請:企業はこの売掛金をファクタリング会社に売却することを申し出ます。
3. 審査と契約:ファクタリング会社が審査を行い、リスクに基づいて契約条件を提示します。
4. 現金化:契約成立後、ファクタリング会社が売掛金の一部を即座に現金として企業に支払います。残りは、売掛金が実際に回収された後に支払われることが一般的です。
5. 売掛金の回収:ファクタリング会社が取引先から売掛金を回収します。

主なファクタリングの種類

  • 償還請求権ありファクタリング(リコースファクタリング)
    取引先が支払いを行わなかった場合、ファクタリング会社は売掛金を買い取った企業に返済を求めることができます。リスクが企業側に残るため、手数料が比較的低い傾向があります。
  • 償還請求権なしファクタリング(ノンリコースファクタリング)
    取引先が支払いを行わなかった場合でも、ファクタリング会社は企業に返済を求めません。このため、手数料は高めになりますが、企業側のリスクは軽減されます。

ファクタリングのメリット

1. 資金繰りの改善

ファクタリングを利用すると、売掛金の支払いを待たずに早期に現金化できるため、企業のキャッシュフローが改善します。特に、支払いサイトが長い取引先が多い場合に有効です。

2. 信用力に依存しない資金調達

銀行融資とは異なり、ファクタリングは企業自体の信用力よりも、売掛金の取引先の信用力が重視されます。したがって、財務状況が悪化していても、売掛金を元に資金調達が可能です。

3. 借入ではないため、負債として計上されない

ファクタリングは、売掛金を売却する形で現金を得るため、企業のバランスシート上に負債が増えることはありません。これにより、財務状態が悪化せず、他の資金調達手段を利用する余地が残ります。

4. 売掛金回収のリスク軽減

特に「償還請求権なしファクタリング」(ノンリコースファクタリング)を利用した場合、取引先が支払いを行わなくても、ファクタリング会社が回収のリスクを負います。これにより、企業は売掛金の回収リスクを軽減することができます。

5. 回収業務の負担軽減

ファクタリング会社が売掛金の回収を代行するため、企業は回収業務にかかる手間やコストを削減できます。これにより、企業は本業に専念できるようになります。

6. 早期現金化による成長機会の拡大

売掛金を早期に現金化することで、企業は新たな投資や仕入れ、設備投資などの機会を逃さずに事業を拡大できる可能性があります

ファクタリングのデメリット

1. 手数料やコストが発生する

ファクタリングを利用する際には、売掛金の一部をファクタリング会社に手数料として支払う必要があります。特に、ノンリコースファクタリング(償還請求権なし)の場合、リスクが高いため手数料が高くなる傾向があります。これにより、売掛金の全額を受け取ることはできません。

2. 取引先の信用力に依存する

ファクタリングは、企業自身の信用力よりも取引先の信用力が重視されます。そのため、取引先の信用力が低い場合はファクタリングを利用できないか、利用条件が厳しくなる可能性があります。

3. 顧客との関係への影響

ファクタリング会社が売掛金を回収する際、取引先に対して通知が行われることが一般的です。これが顧客に不信感を与える可能性があり、特に取引先がファクタリングの仕組みを理解していない場合には、ビジネス関係に影響を与えることがあります。

4. 売掛金の全額を即時に受け取れないことがある

ファクタリングでは、売掛金の一定割合を手数料として差し引かれるだけでなく、ファクタリング会社が最初に支払う額(前払い分)は売掛金の一部に限られ、残りは取引先からの支払いが確認された後に支払われる場合が多いです。このため、売掛金の全額をすぐに現金化できるわけではありません。

5. 長期的なコスト負担

短期的には資金繰りを改善できても、ファクタリングの手数料やコストが長期的に積み重なると、企業の利益率に影響を与えることがあります。頻繁に利用する場合、手数料がかさむことで、長期的な財務負担になる可能性があります。

6. ファクタリングの対象となる売掛金に制約がある

ファクタリングは、すべての売掛金に対して適用できるわけではありません。特に、取引先の信用力が低い場合や売掛金の支払いが長期化する取引では、ファクタリング会社が売掛金を買い取らないことがあります。また、少額の売掛金や特殊な契約内容の売掛金も対象外となる場合があります。

7. 取引先に与える印象

ファクタリングの利用は、取引先に対して企業が資金繰りに困っているという印象を与えることがあります。これが取引関係に影響を与えるリスクもあります。

ファクタリングの注意点

金融庁からの注意喚起

https://www.fsa.go.jp/user/factoring.html

一般に「ファクタリング」とは、事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス(事業者の資金調達の一手段)であり、法的には債権の売買(債権譲渡)契約です。しかし、近時、ファクタリングを装った高金利の貸付けを行うヤミ金融業者の存在が確認されています。また、ファクタリングとして行われる取引であっても、経済的に貸付けと同様の機能を有していると思われるようなものは、貸金業に該当するおそれがあります。事業者の皆様におかれては、こうした偽装ファクタリングを利用することのないよう、十分注意してください。また、通常、個人としてファクタリングを利用する機会はないと思いますが、「給与ファクタリング」という手法で、個人に貸付けを行うヤミ金融の存在も確認されていますので、こちらについても十分注意してください。

ファクタリングを利用する前に

ファクタリングを利用する前に考えなければならない点は、手数料と返済期間、そして御社の経営状況についてがとても重要となります。ファクタリングの手数料は業者により異なりますが、10%前後としていることが多いです。また返済期間についても売掛金回収後の即時一括返済としております。このことから、事業の経営状況が悪化している、低迷している状況にてファクタリングを利用すると一時的には資金繰りは改善されますが、ファクタリングを返済するために、繰り返しファクタリングを利用するといった状況に陥ってしまうケースが散見されます。このような状況に陥らない為には、先を見据えた計画を立てなければなりません。特に事業不振の場合には、事業構造の見直し、利益構造の見直しなどを行ない、繰り返しファクタリングを利用せずとも事業の再生が図れるように事業計画と返済計画を立てましょう!